サイト売買(いわゆるサイトM&A)が活発化する中で、「サイトを売るときに何を引き渡すのか」という疑問を持つ初心者も多いでしょう。
サイト売買は実物資産ではなくデジタル資産の取引になるため、譲渡対象を明確にしておかないと後々のトラブルにつながりかねません。
この記事では、サイト売買で譲渡対象となる資産の一覧と、その作成時のポイントや注意点について解説します。
個人・法人を問わず初心者にもわかりやすいようにまとめていますので、サイト売却の準備にぜひお役立てください。
サイト売買で譲渡対象となる主要な資産一覧
サイト売買で取り扱われる資産は多岐にわたります。事前にどの資産を買い手に引き継ぐかリストアップしておきましょう。一般的に譲渡対象となる主な資産は以下のとおりです。
ドメイン名
サイトのURLであり「顔」にあたる重要資産です。
Whois情報の名義変更やドメイン移管(レジストラ変更)など適切な手続きを経て、新オーナーに使用権を移します。
※関連するサブドメインや過去使用していたドメインがある場合はそれらも検討します。
サーバー環境
サイトが稼働しているサーバーのアカウントやサーバーデータ一式です。レンタルサーバーの契約ごと引き継げる場合は名義変更等を行い、難しい場合はサイトデータをバックアップして買い手側のサーバーへ移行します。
データベースやSSL証明書など、サイト運営に必要なサーバー設定も含め漏れなく対応しましょう。
サイトのコンテンツ一式
ウェブサイト上のすべてのコンテンツ(記事テキスト、画像、動画等)、デザイン、プログラムコード、データベースなどサイトそのものを構成するデジタル資産です。
通常、これらコンテンツやプログラムの著作権も含めて譲渡されます。
CMS(WordPress等)を利用している場合は、その管理者アカウントも譲渡対象です。
必要に応じて編集権限ユーザーを新規作成し、旧管理者を削除するなど適切な引継ぎを行います。
アクセス解析・運営ツール類
GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソール等のアクセス解析ツール、あるいはSEO分析ツールなどサイト運営に使用している各種ツールのアカウントです。
買い手に閲覧権限を付与したり、アカウント自体を移管したりすることで、過去データの引継ぎが可能になります。
特にアクセス推移やユーザー行動データはサイト価値の裏付けとなるため、確実に共有しましょう。
広告収益関連のアカウント
サイトで収益化に使っているGoogleアドセンスのような広告アカウントや、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)等の提携アフィリエイトアカウントです。
アドセンスIDやアフィリエイトIDはサイト収益に直結するため、譲渡範囲に含めるか事前に取り決めます。
サービスの利用規約上アカウント譲渡が難しい場合は、買い手側で新規取得してもらい、サイト側で広告コードを差し替える対応なども検討します。
SNSアカウント
サイトと連動して集客に使っているSNS(X(旧Twitter)やInstagram、YouTubeチャンネル等)のアカウントも重要な資産です。
SNS経由の集客がサイトPVに貢献している場合、これらを含めて譲渡することで買い手は既存フォロワーによる集客基盤も引き継げます。譲渡時にはアカウントのメールアドレスやパスワードを変更し、新所有者に引き渡す形を取ります。
各種素材・ツールのライセンス
サイト内で使用している画像素材のライセンスや、有料テーマ・プラグインなどの利用権も資産に含まれます。
たとえば有料のWebフォントや写真素材、デザインテンプレート、SEOツールの契約など、サイト運営に紐づくあらゆるサービスのアカウント情報を洗い出しましょう。
譲渡可能なものは権利移管し、譲渡不可のものは買い手が新規契約できるよう案内します。
知的財産権・契約関係
Webサイトに関連する知的財産権(サイト内コンテンツの著作権、ロゴやブランド名の商標権など)も譲渡対象です。
さらにサイト運営に紐づく契約や情報として、取引先リストや顧客データ、外部ライター・外注先との契約書類などがあれば、それらも含めて整理します。
事業譲渡契約では、これら「取引先情報」や「ユーザー情報」も資産に含める旨を定めるケースが多いため、該当するものは忘れずに引き継ぎましょう。
含め忘れがちな資産・注意点
上記の主要資産以外にも、見落としがちな譲渡対象があります。
特に初心者は「そんなものも引き渡すのか」と思いがちですが、後から抜け漏れに気付くとトラブルのもとです。含め忘れがちな資産と注意点を確認しましょう。
SNSや関連アカウントの漏れ
サイト本体ばかりに目が行き、SNSアカウントや外部サービスの存在を買い手に開示し忘れるケースがあります。
たとえば集客に使っていたTwitterアカウントを譲渡対象に含めず交渉すると、後で「話が違う」という事態になりかねません。
影響力のあるサブ資産は契約書に盛り込むなど、最初から譲渡対象に含めるかどうか明確にしておきましょう。
複数・過去ドメインの扱い
サイトによっては、現在使っているドメインの他に過去に使用していた旧ドメインや関連ドメインが存在する場合があります。
これらが検索流入やSEO評価に影響していることも多いため、可能であれば一緒に買い手へ引き継ぐことを検討します。
特に旧ドメインからリダイレクトを設定しているケースでは、旧ドメイン自体を譲渡しないと将来リンク切れになったりSEO評価を失ったりするリスクがあります。
過去ドメインも必要なら譲渡対象に加え、ドメイン維持費程度のコスト以上の価値があるかを判断材料にしましょう。
有料サービス・ソフトの権利
サイト運営で使っている有料ソフトウェア、クラウドサービス、サブスクリプション契約なども見逃しがちです。
例えば有料のメール配信サービスに顧客リストを保有している場合、そのアカウントをどうするか事前に決めておく必要があります。
譲渡可能ならその手続きを踏み、譲渡不可ならエクスポートしたデータを引き渡すなど、サービスごとに対応を検討しましょう。
ライセンス系は契約者名変更ができるか、再契約が必要かをサービス提供元の規約で確認することも大切です。
ユーザー情報の取扱い
ECサイトや会員制サイトの場合、顧客データや会員情報そのものが重要な資産です。
しかしこれらは個人情報でもあるため、取り扱いには注意が必要です。基本的には事業譲渡の一環として顧客情報を引き継ぐこと自体は問題ありませんが、プライバシーポリシーで利用目的が限定されている場合はユーザーへの告知や同意が求められることもあります。
法律面の配慮も踏まえつつ、顧客リスト・会員データの譲渡方法(会員への周知やデータの安全な受け渡しなど)を決めておきましょう。
なお、メールマガジンの購読者リストなども含め、価値あるデータは漏れなく洗い出すことが大切です。
資産リスト作成時のチェックポイント
譲渡対象のリストアップにあたっては、次のポイントをチェックしましょう。事前にしっかり準備することで、交渉から引き渡しまでスムーズに進めることができます。
譲渡範囲の明確化と共有
まずどの資産を引き継ぎ、何を引き継がないかを売り手・買い手の双方で明確に定義します。
曖昧なままだと「○○ももらえるはずだった」「聞いていない」という行き違いが起こりがちです。
作成した資産リストは早めに相手と共有し、認識をすり合わせておきましょう(契約書にも明記します)。
カテゴリ別に漏れなく整理
資産は種類ごと(ドメイン、コンテンツ、ツール、契約 など)に分類してリスト化すると漏れが防げます。
上記で挙げたような各カテゴリについて一つひとつ洗い出し、該当するものをリストアップしてください。
「サイト資産のリスト化(ドメイン、コンテンツ、ツール、契約など)」は売却準備の基本作業の一つです。
各資産の移行方法を明記
リストアップした資産ごとに、具体的な引き渡し方法や必要手続きも整理しておきます。
例:ドメインならAuthCode発行とレジストラ移管の手順、サーバーならデータ移行方法、SNSアカウントならログイン情報の受け渡しと権限移譲、といった具合です。
移行に時間がかかるものや一時的にサービス停止が伴うもの(ドメイン移管中のサイト・メール停止など)は、買い手と事前にスケジュールを調整し円滑に進めましょう。
譲渡できない要素の対応策
リスト化の過程で、アカウントや契約の中に譲渡が難しいものも出てくるかもしれません(個人名義の広告アカウント、他サービスと共通利用している解析ツールなど)。
その場合は譲渡対象から除外するのか、あるいは代替手段を用意するのかを検討し、買い手に説明できるようにしておきます。
例えば「Googleアナリティクスのプロパティだけ共有し、アカウント自体は譲渡しない」や「このASPアフィリエイトは規約上アカウント譲渡不可なので契約は引き継がず、サイト掲載リンク先を買い手側のIDに差し替える」等、資産ごとに適切な引継ぎ策を準備します。
専門家やプラットフォームの活用
初めてサイト売買に挑む場合、自分だけでリストを作成するのが不安なこともあるでしょう。
そうした時は無理をせず、専門のM&Aサービスや仲介会社の力を借りるのも有効です。
信頼できるプラットフォームではチェックリストや契約テンプレートを提供してくれたり、引継ぎ項目の相談に乗ってくれるところもあります。
第三者のサポートを得ることで抜け漏れを防ぎ、安心して取引を進めることができます。
トラブルを避けるためのポイント(契約書・引継ぎ・対応)
最後に、サイト売買でトラブルを防ぐための注意ポイントを押さえておきましょう。契約締結から引き渡し完了までの対応で、以下に挙げる事項に気を付ければリスクを最小限にできます。
契約書で譲渡内容を明確に規定
口頭の約束だけでなく、正式な譲渡契約書に全ての譲渡資産と条件を明記します。
後から紛争とならないよう、譲渡対象を可能な限り具体的に定めることが大切です。
契約書上、「本件譲渡で引き渡す資産は○○であり、明示されていない資産・負債は承継しない」旨を確認的に記載しておくと安心です。
表明保証で情報の正確性を担保
契約書には表明保証条項を設け、売主が提供した情報(サイトの収益・アクセスデータや資産リストの内容)が正確であることを保証させます。
万一、譲渡後に重大な齟齬や隠れた瑕疵が発覚した場合でも、表明保証違反として契約不適合責任を追及できるようにしておけばリスクヘッジになります。
支払いはエスクローを利用
金銭の授受に関するトラブル防止策として、エスクローサービスの活用も検討しましょう。
エスクロー決済とは、第三者機関が代金を一時預かりし、取引完了後に売り手へ支払う仕組みです。
直接取引よりも安全性が高く、買い手にとっても安心材料となります。
サイト売買プラットフォームの多くはエスクローに対応していますが、個人間取引の場合でも決して口座振込だけで済ませず、信頼できるエスクロー代行サービス等を利用するのがおすすめです。
引継ぎ方法とサポート期間の取り決め
契約時に具体的な引継ぎ方法やサポート対応について取り決めておきます。
ドメイン移管やサーバーデータ移行のスケジュール調整、各種アカウントの引継ぎ手順、引継ぎ後に不具合が発生した場合の連絡方法など、実務面の段取りを事前に合意しましょう。
加えて「引き継ぎ期間中のサポート義務」も契約書に盛り込みます。一般的には譲渡後1〜3ヶ月程度、売主が買主からの質問や問い合わせに対応する旨を定めるケースが多いです。
この期間・対応範囲を明確化しておくことで、譲渡後の不安を軽減できます。
競業避止義務の設定
競業避止条項とは、サイト譲渡後に売主が同じ分野で競合する事業を行わないよう制限する条項です。
せっかくサイトを買っても、直後に売主が類似サイトを立ち上げてユーザーや取引先を奪われては買主にとって大きな損失です。
そのため契約上、一定期間・一定の範囲で売主が競合サイトを運営することを禁止する取り決めをしておきます。
期間はサイトのジャンルや規模にもよりますが、少なくとも譲渡後1〜2年程度は同ジャンルのサイト・ビジネスに関与しない旨を定めるケースが多いです。
競業避止義務を明確にしておくことで、譲渡後のビジネスの安定性が保たれます。
以上の点に留意し、丁寧かつ誠実な引き継ぎ対応を行うことで、サイト売買のトラブルは大幅に防止できます。お互いにとって気持ちの良い譲渡になるよう、契約内容のすり合わせと円滑なコミュニケーションを心がけましょう。
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