会社を作ったのに、銀行口座が作れない――。まさかこんな壁にぶち当たるとは思ってもみませんでした。起業の興奮が、一瞬で不安に変わった瞬間です。
僕は法人口座開設の申し込みに何度も挑戦しましたが、そのたびに銀行から「申し訳ございませんが、お取引は見送らせていただきます」といった返答を受け取りました。書類は揃えているのに審査に通らない。ネット銀行にも申し込んでみましたが、結果は同じ。通帳は白紙のまま、会社のお金を入れる”器”すら用意できない状況に、僕は心が折れそうになりました。
「銀行口座一つ作れない会社に、一体何の未来があるんだろう…?」――焦りと絶望で夜も眠れない日々が続きました。
銀行に何度も断られる…その理由は?
なぜここまで口座開設のハードルが上がっているのか。調べてみると、近年は金融犯罪防止のため銀行の審査自体が非常に厳しくなっていることが分かりました。とりわけ設立したばかりの新設法人に対しては、銀行側も慎重になっているようです。
具体的には、僕の会社にも思い当たるいくつかの要因がありました
資本金が極端に少ない
資本金がわずかな会社だと、犯罪目的のダミー法人と見られてしまう可能性があります。実際、資本金1円でも会社は作れますが、あまりに少額だとかえって不信を招くようです。
バーチャルオフィス利用
登記上の本店住所をレンタルオフィスやバーチャルオフィスにしていると、会社の実態が掴みづらく審査が通りにくいと言われます。僕もコスト節約のために借り住所を使っていたので、まさにこれに該当しました。
事業目的が曖昧
定款に書いた事業内容が広範すぎたり具体性に欠けたりすると、「何のための会社か」がはっきりせず警戒されます。
創業時に欲張って事業目的を盛り込みすぎた僕の会社も、もしかしたら銀行には怪しく映ったのかもしれません。
固定電話やホームページの未整備
一部の銀行では、会社の電話番号やウェブサイトを持っているかも審査基準になります。僕は携帯電話とSNSで済ませていてホームページもまだなかったため、「開業の本気度が低い」と判断された可能性もあります。
つまり、実績も信用もない新設法人は、それだけで銀行から「本当に大丈夫な会社か?」と疑われやすい時代なのです。
もちろん、振り込め詐欺やマネーロンダリング等で法人名義の口座が悪用されてきた背景があり、銀行が慎重になるのも無理はありません。
とはいえ、まさかここまで門前払いが続くとは思わず、僕は途方に暮れました。
ネット銀行もダメ?打つ手を探した日々
それでも諦めたくない僕は、打開策を模索しました。調べる中で分かったのは、銀行によって審査基準は異なるということ。中には新設法人や小規模法人を積極的に受け入れてくれる銀行もあるようです。また、「どうしても口座が必要なら複数の銀行に同時並行で申し込むべき」といったアドバイスも目にしました。
そこで僕は、メガバンクだけでなくネット銀行や地方銀行など、合計で3つの金融機関に法人口座を申し込んでみることにしました。書類の不備がないか何度も確認し、事業計画書まで添えてアピールしました。
しかし——結果は思わしくありません。ある銀行からは追加資料の提出を求められ、別の銀行からは「面談が必要です」と連絡が来たものの、その日程調整すらなかなか進まない状態。気づけば会社設立から数ヶ月が過ぎ、事業のスタートが大幅に遅れていました。
焦る僕に、ある日先輩起業家がこんな言葉をかけてくれたのです。
「それなら会社ごと買えば?」衝撃のアドバイス
「銀行がダメなら、最初から口座を持ってる会社を買っちゃえばいいじゃないか」。ある起業仲間からの何気ない一言に、僕は耳を疑いました。口座付きの会社を買う?そんな手があるのか、と。最初は冗談か違法行為の誘いかとも思いました。しかし話を聞くと、実態のない休眠会社(現在事業を行っていない会社)を必要とする人に譲渡するケースは珍しくないというのです。
半信半疑で調べてみると、実際に休眠会社を売買するマーケットが存在していました。そして驚いたことに、「法人口座(ネットバンキング利用可)を持つ休眠会社、空箱でも構いません。予算100万円までで買いたい」という買い手のニーズまで見つかったのです。そう、世の中には「銀行口座付きの会社」が欲しい人が他にもいて、だいたい10万~100万円程度の予算感で取引されていることが分かりました。
僕は目からウロコが落ちる思いでした。同時に、「会社を買うなんて本当にアリなのか?」「法律的に問題ないのか?」という不安も湧いてきました。
「会社を買う」って実際どういうこと?合法なの?
結論から言えば、休眠会社の購入は合法です。言い換えれば、小規模なM&A(企業の合併・買収)の一種として、事業が動いていない法人格だけを譲り受ける行為になります。具体的には、その会社の株式を譲渡してもらい、自分を代表取締役に据える手続きを経ることで、会社そのものを自分のものにできます。新規に法人登記する代わりに既存法人の登記情報(役員や住所等)を変更するイメージです。
もちろん、注意すべき点はあります。購入しようとする会社に隠れた負債や未納税金がないか、事前にしっかり調査することが肝心です。実際、専門のM&A仲介サイトでも「休眠会社の売買では簿外債務(隠れ債務)の有無に注意」とアドバイスされています。万一、引き継いだ会社に知られざる借金があったら大変ですから、ここはプロの力も借りて慎重にチェックすべきでしょう。
もう一つ、倫理的・法律的な面で言えば、この方法自体は法律で禁じられたものではありません。ただし、銀行が法人の口座開設に神経をとがらせている背景には、反社会的な輩が休眠会社を利用して不正口座を手に入れてきたという過去があります。実際に口座付き会社の売買が闇で悪用された事例もあり、だからこそ金融機関は審査を厳しくしているのです。
しかし僕のように純粋に事業のために必要で、この手段を正規の手続きで行う限り、何ら後ろめたいことはありません。要は「悪用する人間がいるから厳しいだけ」であって、正しく使えば何の問題もない合法的な選択肢なのです。
「口座付き会社」を買うメリットは?意外なお得ポイント
正直、「会社を買うなんてお金も手間も相当かかるんじゃないか?」と最初は思いました。ところが蓋を開けてみると、この方法には想像以上に魅力的なメリットがあったのです。
例えば、僕が実感しただけでも以下のような利点があります。
即日で法人名義の銀行口座が使える
最初から銀行口座付きの会社を手に入れるため、面倒な口座開設手続きを新規に行う必要がありません。審査待ちで何ヶ月も足止めを食らうこともなく、買ったその日からお金のやり取りが可能になります。
設立費用が圧倒的に安い
新しく会社を作るには定款認証や登録免許税などで20~30万円はかかるのが一般的です。しかし既存の会社を譲り受ける場合、登記変更のコスト(約10万円)程度で済みます。つまりコスト面でも新規設立より有利なのです。
社歴(会社の歴史)がある
譲り受ける会社が数年前に設立されたものであれば、最初から設立◯年という看板を掲げられます。実績ゼロの新設会社よりも信用が得やすく、取引先への印象も良くなるメリットがあります。銀行の審査という観点でも、「設立ホヤホヤ」より「多少年数が経った会社」の方が有利に働くケースもあるでしょう。
以上のように、「法人口座を作れない!」という状況を打破するためのこの方法は、単なる苦肉の策ではなく、起業初心者にとって合理的で賢い近道になり得ると感じました。実際、僕自身もこれらのメリットを知るにつれ、背中を押される思いがしました。
M&Aクラブとの出会いがすべてを変えた
こうして腹を括った僕は、具体的に口座付きの会社を探す行動に移りました。幸いなことに、今の時代はインターネット上に個人間で会社やウェブサイトを売買できるサービスが存在します。中でも目に留まったのが「M&Aクラブ」というプラットフォームでした。M&Aクラブはサイト売買やSNSアカウント売買の取引数No.1を誇る専用プラットフォームで、初心者でも安心して手軽に利用できるサービスです。ここなら法人そのものの売買も可能とのことで、早速登録してみました。
結果は驚くほどスムーズでした。M&Aクラブ上で条件に合う休眠会社の出品を見つけ、サイト内のチャットで売り手の方とやり取りを開始。「債務なし・口座あり・税金未納なし」と詳細に開示されたその会社は、まさに僕が求めていたものでした。多少の専門用語や手続きはありましたが、M&Aクラブの分かりやすいガイドのおかげで迷うことはありませんでした。必要書類の確認や公証役場での株式譲渡契約なども滞りなく進み、ついに僕はその会社の新オーナー(代表取締役)となったのです。
忘れもしない、譲り受けた会社のインターネットバンキングに初めてログインした日のこと。自分の法人名義の口座が画面に表示された瞬間、思わず胸が熱くなりました。あれほど苦戦した「法人口座」が、ついに手に入ったのです。長いトンネルを抜けて、ようやく事業のスタートラインに立てた思いでした。
今では、この「法人ごとM&A」という選択肢に踏み切って本当に良かったと感じています。銀行口座のことで悩んでいた時間が嘘のように、事業に集中できる毎日が戻ってきました。もし、当時の僕と同じように法人口座が作れずに途方に暮れている方がこの記事を読んでいたら、ぜひ伝えたいです。どうか諦めないでください。銀行に断られ続けても、道は一つじゃありません。状況を打開する新しい選択肢は必ず存在します。僕の場合はそれが「口座付き会社のM&A」でしたが、あなたの場合もきっと何かしらの活路があるはずです。
狭い扉に何度も跳ね返されて心が折れそうになったとき、「視点を変えて別の扉を探す」ことが大事だと、この経験から学びました。幸い、今はM&Aクラブのように個人レベルでもビジネスの売買・譲渡ができる時代です。法人口座で躓いている人にとって、M&Aクラブはまさに希望への入り口になりえるでしょう。実際、僕はM&Aクラブを通じて会社も銀行口座も丸ごと手に入れ、スタートアップの第一歩を踏み出すことができました。