サイト売却において発生することの多い手続きの一つが「ドメイン移管」です。
ドメインはウェブサイトの“住所”のようなものであり、売り手から買い手へ運営権を正式に引き継ぐためには、ドメインそのものの所有権移転が必要です。
ただし、移管手続きは管理会社(レジストラ)ごとに仕様や画面構成が異なり、慣れていないとトラブルや移管失敗のリスクもあります。
本記事では、主要レジストラ別の移管手順や注意点を詳しく解説し、安全かつスムーズに移管を行うための実務知識をまとめます。
1. ドメイン移管とは何か?
ドメイン移管(ドメイントランスファー)とは、現在の管理会社(レジストラ)から別の管理会社へドメインの管理を移す手続きのことです。
サイト売却においては、「売り手のアカウントで管理しているドメインを、買い手のアカウントに移す」ことが必要になります。これにより、買い手は自分の管理画面でドメインを更新・管理・設定できるようになります。
2. 一般的な移管の流れ(概要)
どの管理会社でも、移管の基本フローは以下のように共通しています。
- 売り手が管理会社にログイン
- ドメインの移管ロック(Transfer Lock)を解除
- WHOIS情報を最新化(特にメールアドレス)
- AuthCode(認証コード)を取得
- 買い手にAuthCodeを共有
- 買い手が移管先で移管申請を行う
- WHOISに登録されたメールアドレス宛に承認メールが届くので、クリックして承認
- レジストラ間で移管処理が行われ、通常3〜7日以内に完了
3. 注意すべきポイント
💡 同じ管理会社内で譲渡する場合は? ドメインの移管(Transfer)は「管理会社が異なる場合」に必要な手続きです。
もし売り手と買い手が同じレジストラ(例:どちらもお名前.com)を利用している場合は、名義変更やアカウント間のドメイン移行で済むケースが多く、移管手続きは発生しません。
詳しくは別記事「同一管理会社内でドメインを譲渡する方法」をご覧ください。
- WHOIS代理公開の解除:一部管理会社では、メールが届かなくなる要因になるため解除が必要です。
- 60日ルール:ドメイン取得・更新・名義変更から60日以内は移管できないケースがあります(ICANNポリシー)。
- DNS設定の引き継ぎ確認:移管後にDNSレコードが初期化される場合があるので、事前にバックアップしておくことが望ましいです。
- 移管費用:レジストラによっては移管時に1年分の更新費用が必要です。
4. 管理会社別|ドメイン移管手順の詳細
※詳細は各管理会社へご確認ください。
■ お名前.com(GMOインターネット)
- 「ドメイン設定」>「ドメイン詳細設定」で移管ロックを解除
- 「WHOIS情報変更」で登録メールアドレスを確認・修正
- 「AuthCode発行」から認証コードを取得
- 代理公開はOFFに変更しておく
■ ムームードメイン(GMOペパボ)
- 「ドメイン操作」>「移管情報表示」から移管ロック解除
- WHOIS情報の代理公開がONのままだとエラーになりやすい
- 「認証コード表示」からAuthCodeを取得
■ エックスドメイン(エックスサーバー)
- インフォパネル > 契約ドメイン管理画面でロック解除
- 「ドメイン移管申請」メニューから申請開始
- WHOIS非公開の場合は解除しておく
■ Google Domains(※現在はSquarespace管理)
- 「登録設定」画面でロックを解除
- 「転送認証コードを取得」ボタンでAuthCodeを発行
- DNSSECが有効な場合は無効化しておくとスムーズ
■ ラッコドメイン
- 「他社⇒ラッコ移管」からドメインとAuthCodeを入力
- WHOIS情報・ロック状態・有効期限・DNSSEC設定など複数の条件を自動チェック
- 条件クリア後に「移管開始」→メールで承認
5. 移管完了までの目安日数と費用
- 完了までの期間:通常は3〜7日。ただし、即時承認される.jpなどのTLDでは数時間以内に完了することも
- 費用:ドメイン移管には多くの場合1年分の更新費(1,000〜3,000円)がかかります(移管先で支払い)
6. よくあるトラブルと対策
トラブル内容 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
認証メールが届かない | WHOISメールが古い or 代理公開中 | メールアドレス更新+代理公開解除 |
AuthCodeが無効と表示される | コピペミス or 有効期限切れ | 再取得・正確に入力 |
申請しても移管が進まない | ロック解除できていない | 状態再確認+再申請 |
7. まとめ
ドメイン移管は、売り手と買い手の管理会社が異なる場合に発生する重要なステップです。トラブルを防ぐためには、管理会社ごとの手順の違いを把握し、事前にWHOIS情報やロック状態を確認することが鍵となります。
M&Aクラブでは、移管に不安のある方のために、手続きに関するガイドやサポートも行っています。ドメインの移管で悩んだら、ぜひ一度ご相談ください。