はじめに
サイトを売却する際に意外と見落とされがちなのが、「広告収入はどうなるのか?」という点です。
特にアフィリエイト広告で収益を得ているサイトでは、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)との契約が絡んでくるため、無視できない重要事項となります。
結論から言えば、ほとんどのASPで「アカウントの譲渡」は禁止されています。
つまり、単にIDやパスワードを引き渡すということはできません。
では、どうすれば広告の効果を維持しつつ、スムーズに再設定できるのでしょうか?
本記事では、一般的な考え方から、主要ASPごとの具体的な対応方法まで、わかりやすく解説していきます。
ASPアカウントは譲渡できない。じゃあ、どうする?
原則として、ASPアカウントは個人や法人に対して発行されるものなので、契約主体そのものを変更することはできません。
したがって、買い手が新たにアカウントを開設し、売却されたサイトを登録し直す、という対応が基本になります。
この過程では、広告主との提携もやり直しになることが多く、案件によっては再審査が必要になります。
スムーズな移行を目指すには、売り手側が事前に「どの広告を使っていたのか」「どこに貼っていたのか」といった情報を整理し、買い手に渡すのが理想です。
A8.net|王道ASPだからこその落とし穴に注意
A8.netは国内最大級のASPで、多くのアフィリエイターが利用しています。ただし、アカウントの譲渡は利用規約で明確に禁止されており、売却後にそのまま引き継ぐことはできません。
対応の流れ:
- 買い手がA8.netに新規登録する
- 売却されたサイトをA8に再登録
- 各広告案件に改めて提携申請を行う
案件によっては即時提携できるものもありますが、金融系や医療系など一部ジャンルでは審査が厳しく、再申請で不承認となるケースもあります。事前に売り手が、広告の使用状況を一覧化して買い手に共有しておくと、提携の再申請がスムーズになります。
もしもアフィリエイト|仕組みが便利な分、再設定がやや煩雑
もしもアフィリエイトもアカウントの譲渡は認められておらず、売却時には買い手が新規アカウントを作成する必要があります。
対応の流れ:
- 買い手がもしもアフィリエイトに新規登録
- サイトを登録し、広告案件に提携申請
- 既存記事に掲載されているリンクを貼り替える
もしもアフィリエイト特有の「かんたんリンク」や「自動マッチング」機能は便利な反面、広告の再設定がやや煩雑になる傾向があります。また、成果報酬の確定タイミングによっては、報酬の分配でトラブルになることもあるため、売買契約書の中で未確定分の扱いを明記しておくと安心です。
バリューコマース|整理された情報がカギを握る
バリューコマースもアカウント譲渡はNG。
バリューコマースもアカウント譲渡は不可とされています。サイト売却後は、買い手が独自にアカウントを取得し、広告案件を再申請する必要があります。
対応の流れ:
- 買い手がバリューコマースに新規登録
- サイトを登録し、提携希望の広告主に再申請
- 審査通過後、広告リンクを再設定
バリューコマースは金融・不動産ジャンルを中心に提携審査が厳しい傾向にあり、過去に提携していた案件でも再承認されない場合があります。売り手は、記事とリンクの対応関係を整理した一覧を渡しておくと、買い手側の再設定作業がスムーズになります。
審査落ちリスクが高く、収益の途切れが起こりやすいジャンルが多い |
このASPでは、売却時に「どの広告がどの記事に貼られていたか」を正確に共有してもらえるかどうかで、買い手の作業量が大きく変わります。しっかりした引き継ぎ資料があるかどうかが、サイト売買成功の分かれ目になることもあるでしょう。てもらえるかどうかで、買い手の作業量が大きく変わります。
しっかりした引き継ぎ資料があるかどうかが、サイト売買成功の分かれ目になることもあるでしょう。
アクセストレード|交渉次第では柔軟な対応も
アクセストレードは、他のASPと比べて例外的な対応を検討してもらえる可能性があるものの、譲渡自体は基本的に認められていません。
対応の流れ(原則):
- 買い手がアクセストレードに新規登録
- サイトを登録し、広告主に提携申請
- 提携が通った案件のリンクを再設定
案件によっては、過去の提携履歴などをもとに、再審査を省略するなどの“再申請を簡略化する対応”が取られる可能性もあります。
引き継ぎを成功させるための準備とは
ASPアカウントの譲渡は難しいですが、広告そのものの引き継ぎは工夫次第でスムーズに行うことができます。重要なのは、「買い手がすぐに再設定できる環境」を用意してあげることです。
最低限まとめておきたい情報は、次の3つです。
- 提携していたASP名と案件名の一覧
- 広告リンクが掲載されていた記事と、おおまかな配置(例:本文冒頭・本文末など)
- 報酬の確定タイミングと、未確定分の扱いに関する取り決め
「全部渡すのはちょっと…」と思うかもしれませんが、買い手が広告の再設定に失敗すれば、サイトの収益性は下がり、最悪の場合は売却後にクレームに発展することも。トラブルを避けるためにも、資料はしっかり残しておきましょう。
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ASPアカウントそのものは譲渡できませんが、広告の引き継ぎは「事前準備」と「情報共有」で十分対応可能です。主要ASPごとに方針が異なるため、それぞれのルールを把握したうえで、買い手がすぐに広告を貼り直せるよう資料を用意しておくことが、トラブル回避の第一歩になります。
売り手・買い手双方が安心して取引できるよう、仕組みだけでなく“人の手間”も含めた準備を進めましょう。